「だからって何で王子を盗み見するの止めたの?」

「女王様と話して、この人には敵わんなぁって思ったけん……かな」

『本当にいいの?』



この短期間で何度ライトに心配そうな顔をさせたかな。


人の事なのに私より辛そうな顔しとる。



「もういいんよっ!!やけんいい人おったら紹介してねっっ!!」



私はこれでもかというくらい大げさに笑って答えた。


これ以上優しいみんなを心配させたくない。


うじうじしとっても始まらんし、次に進もう。


これは幸せになる為の過程やったのかもしれんしね。



『しょうがねぇなぁー俺が紹介……』

「遥には一ミリも頼んどらんし」

『はぁ!?チビのくせに生意気なんだよ!!』

「背は関係ないやんか!!だいたい遥の友達に王子様とかおらんそうやもん!!絶対ガラ悪いッッ!!」



遥の伸びてきた手を避け、ライトの背中にしがみつく様に隠れた。


こんな状況でも笑いながらお弁当を食べるライトと完全シカトモードの凜子。


いいんよ。


私にはまだこんなに楽しくて幸せな時間があるんやもん。


恋は上手くいかんやったけど、私の人生まだまだ捨てたもんやない。