特上男子

もっと撫でてというように頭をつきだしたらライトに笑われてしまった。


頭を撫でられるのって何でこんなに気持ちいいんやろ。


その手が彼氏やないのがちょっと切ないけど。



「いでッッ」

「人がこんなに心配してんのに勝手に和んでんじゃないよ」



凛子にバシッと太股を叩かれ苦笑いをして見せた。



「お尻触られて固まっとるとこを女王様が助けてくれたんよ」

「女王様って隣の大学の氷の女王!?」

「うん。綺麗で怖くて逞しくて、メッチャ優しい人やった」



私は痴漢に遭った時の事をみんなに話した。


別に隠そうと思って今まで話さんやった訳やないけど、話したら余計実感してしまいそうな気がして話せんやった。


私は彼女にはどう頑張っても敵わないんやって……。



『すげぇな女王様。俺も見てみてぇ』

「完璧な人だね」

「そうなんよ」

『完璧な人間なんていないよ。欠落している部分があってそれぞれ価値観が違うから、相性にも良し悪しがあるんだよ』



いつだってライトは冷静でもっともな言葉をくれる。


ズドーンっと私の落ち込みが地につく前にクッションを敷いてくれるんよね。


私からしてみればライトも完璧やと思う。