特上男子

ジーッと私の洋服をチェックしている智輝さん。


やっぱ変……ですよね?



『似合ってるよ』

「へ――?」



そんなん嘘やんっ!!


そんな事面と向かって言える訳もなく、私は固まってしまった。



『荷物は?』

「あっ、と、取ってきます!!」



甘いマスクで優しく微笑んだ智輝さんの顔を直視できんくて、誤魔化すように振り返りソファーの上に置いてある制服の入った紙袋と鞄を取りに行った。


あんな顔反則やろ……。


マジ心臓に悪いっちゃけど。



「お待たせしましたっ」

『あはは、全然待ってないから。むしろ待たせたのは俺の方だから』

「あっ――」

『行こうか』



さりげなく荷物を持ってくれた智輝さんの後ろ姿を見ながら綻ぶ顔。


履き慣れないヒールで転けてしまわん様に足元に注意しながらも、にやけた顔は中々元には戻ってくれんやった。