涙を隠すように上を向いた涼平は あっ、と嬉しそうな声を上げた 「雪!」 そんなの降るわけないって、もうすぐ春なのに そう思って上を向いた朱希の頬にも冷たいものが当たった 雪だったとしても体温で溶けてしまうから雨か雪かわからない 「季節外れだけど雨じゃないって」 ほら、と涼平が指さしたのは自分のコート 白い雪が少しだけついている 「本当だー」 「なんかロマンチックじゃない?ホワイトクリスマス的な」 「全然クリスマスじゃないしロマンチックだけど寒い」