ばーか
小さな声で呟いた
聞こえたかどうかはわからない
今そんなキュンとすること言わないでよ
離れたくないって思っちゃうから
また困らせるから
またわがまま言っちゃうから
泣くのはルール違反だからなんとかこらえた
「あたしね、涼平と一緒にいて楽しかったよ
会えてよかった」
唐突でそこそこに重たい朱希の言葉に
一瞬不思議そうな顔をした涼平も
すぐに微笑みながら言葉を返した
「どうしたの急に
何も今から死ぬわけじゃないんだから
それじゃ２度と会えないみたいでしょ」
本当に２度と会えないかもしれないのに……
わざと明るくしているのはきっと涼平も泣きそうだったからだと思う
