「涼平早いじゃーん
やればできる子ー」
いつも通りの橋下が後ろ向きに椅子に座って、背中をのけぞらせていた
本当にこの教室は大丈夫なのかと不安になる
「おだてても何も出ませんよ
これ、朱希からの差し入れです」
さっき渡したばかりの紙袋が早くも橋下の手に渡った
「朱希ちゃん久しぶりー
なんかおいしそうだね、開けていい?」
あ、どうぞ
……なんて言う前に開けてるけどね、このおっさん
「開けていい? って聞くなら返事待ってださいよ本当に!
子どもじゃないんだから! 今年でいくつですかあなた」
涼平が口うるさいお母さんのように言う

