「話したら長くなっちゃうんだけど
聞く?」
聞く?
も何も聞かないなんて選択肢は朱希にない
黙ってうなずいた
「実は俺
すっごい憧れてる芸術家の先生がいて
……そんなに有名な人じゃないんだけど
その人がたまたま作品展
あの、美術部が毎年展示してるやつね
見てくれてたらしくて
俺の作品いいねって言ってくれたんだよ
俺ちょっと感動しちゃって
しかも社交辞令じゃなくて
『もしもその気があったら
卒業してから俺のところ来てみないか』
ってまで言ってくれて……!
だから卒業したら俺その先生のところ行く
って決めた」

