ぱれっと-part1-



「話したら長くなっちゃうんだけど

聞く?」



聞く?
も何も聞かないなんて選択肢は朱希にない

黙ってうなずいた



「実は俺
すっごい憧れてる芸術家の先生がいて

……そんなに有名な人じゃないんだけど


その人がたまたま作品展
あの、美術部が毎年展示してるやつね

見てくれてたらしくて

俺の作品いいねって言ってくれたんだよ


俺ちょっと感動しちゃって
しかも社交辞令じゃなくて

『もしもその気があったら
卒業してから俺のところ来てみないか』

ってまで言ってくれて……!


だから卒業したら俺その先生のところ行く

って決めた」