頬を張ったその手で。

十牙は少年の頭をクシャクシャと撫でる。

「おめぇが力を振るうのは、レヴィお姉ちゃんが危ない時だけでいいじゃねぇか…どうやらこの学園は、俺やおめぇみたいな風変わりな奴でも差別しねぇガッコみたいだしよ」

「……」

どす黒く澱んだ少年の気配が、ふっと和らいだような気がした。

同時に実体化していた少年の姿が透過し、ゆっくりと肉眼では見えなくなっていく…。