天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅨ

少年の呪詛は実に危険なものだった。

普通の呪いとは違い、対象が『決まっていない』のだから。

つまりリング内外を問わず、慕っているレヴィ以外の全ての者の精神に干渉してくる呪い。

観客や味方である筈の教師陣にさえ影響を及ぼすのだ。

「何て事しやがる!」

早々に観客達を避難させようとする十牙。

しかし彼よりも早く。

「心配には及びません」

用務員が、日本史教師が、リングを覆い包むように結界を張る。

「『封呪』の結界です…我々は中立の立場ですが、あくまで観客の安全を確保する為、ここは力添えさせてもらいます…」

抑揚のない声で呟く用務員。

「喧嘩を吹っ掛けた君にも責任がありますよ、十牙君…君の手で事態を収拾してみせなさい」

優しげなようでいて厳しさも内包して。

日本史教師がリング上の十牙に告げた。