「あ゛?」

犬。

雀のその言葉に、十牙が目付きを鋭くさせる。

「今、俺の事、犬っつったか?チュン子」

「誰がチュン子か!」

雀色の長い髪を振り乱すその様は、上下のチャイナ服とも相まって京劇のようだ。

「『雀』だからチュン子だ」

「ならば貴様も犬耳がついているから『犬』だ」

「これはウルフカットっつーんだ」

「お手」

ハシッ。

「見ろ!お手したではないか!やはり犬だ!」

「ぐぬぬっ、条件反射でつい…」

『つい』お手してしまう十牙もどうかと思うが…。