天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅨ

霊を刺激してはならない。

それが人に憑依したものだろうと、土地に居ついたものだろうと、冷静な話し合い以外の対応などしてはならないのだ。

人知を超えた存在の逆鱗など、只の人間にはどうする事もできないものなのだから。

そんなルールをあっさり破った十牙は。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

少年の怒りに触れる。

先程よりも長く、速く、鋭く迫る左右の腕!

「逃げなさい!私じゃこの子の本気の怒りはコントロールできないわ!」

十牙の身を案じ、警告の鋭い叫びを上げるレヴィ。

しかし十牙は。

「!?」

床に両手をついて倒立したかと思うと、両足を広げて独楽のように回転!

その蹴り足によって、実体化した少年の伸縮自在の腕を蹴り弾いた!

まるでブレイクダンスのヘッドスピンのような動き。

実にトリッキーな蹴り技だった。