天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅨ

「知ってる?」

己の背にしがみ付く亡者の如き少年など意にも介さず、レヴィは語る。

「例えば道路で車に撥ねられた犬や猫の亡骸を見かけた時、『可哀相』なんて思ったらいけないんだって…『どうか安らかに成仏して下さい』って…心の中でそう祈ってあげるのが正解なの。『可哀相』っていう同情は、死んだ魂がこの世に未練を持つ事になってしまう…結果成仏できず、この世をいつまでも彷徨う事になってしまうの」

レヴィは僅かに背後の少年を見やる。

「私もあの頃はそういう知識を持っていなくてね…亡くなってしまった『彼』に何度も同情してしまったの…幼くして命を落としてしまうなんて可哀相、人生を生き抜く事が出来ないなんて可哀相って…何度も、何度も…」

結果、少年は心優しいレヴィを慕った。

こんな優しい女性の傍にいたい。

そしてこの優しい女性を、自分が守ってやりたいと考えた。

死して尚…。

この少年は迷える霊であり、レヴィの守護霊でもあるのだ。