天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅨ

スラリと。

雀は背中の剣を抜く。

夏柳家に代々伝わる魔剣『昧朱雀(まいすざく)』。

「無手の龍娘先生相手に剣を抜くのは、いささか心苦しいですが…」

「構わん、それが得手ならば何でも使え」

構える龍娘に、雀は切っ先を向ける。

正眼に構える日本剣術とも、大きく構えを取る西洋剣術とも違う、まるで京劇でも見ているような派手な構え。

一見すると、こんな構えが実戦で通用する訳がないと思わせるような構えだった。

だが。

「仰る通り、私の専門は武術ではなく演舞…」

雀の瞳に、光が宿る。

「そして剣術こそ得手ではありませんが、この『昧朱雀』を最も使いこなせるのは、家系でも私のみ…その事をこれより実証して御覧にいれます」