天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅨ

その言葉につられたように。

「お?」

クロードの足元を中心として、職員室の床に魔方陣が発生した。

幾何学模様で構成された、青白い光を撒き散らす魔方陣。

それが一際強く閃光を放ったかと思うと。

「んぇ?」

次の瞬間、床には一人の女性が座っていた。

「なずな、お茶淹れてくれ」

「えぇええぇえぇっ?うちこれからアリトンとこに遊びに行こう思てたのにぃ!」

不服そうに声を上げるこの関西弁の女性、名を『なずな』という。

和名ではあるが、本名はフルーレティ。

18世紀以降に流布したと考えられているグリモワール『大奥義書』によれば、フルーレティは地獄の3人の支配者ルシファー、ベルゼビュート、アスタロトに仕える6柱の上級精霊の1柱であり、中将であるとされる。

精霊の大軍団を指揮しており、バティム、ピュルサン、エリゴルを配下に持つ。

仕事を命じると夜のうちに片付けてしまい、また望む場所に雹を降らせる力を持つとされる。

かなり高位の悪魔なのだが、何故彼女がクロードに仕えているのかは全くの謎だ。