『桜の木の下?誰もいねーよ、ついにバカがイカれたか?わかったら、モタモタすんな。』 双史はそう言って、俺の腕を引っ張りながら、走り出した。 腕を引っ張られたせいで、身体がグラッと揺れた。 俺はその女のことばかりを考えて、部活どころじゃなかった。 あの、女が桜を見上げた顔が脳裏に焼き付いて、離れない。 また、会えるのだろうか。