俺は中庭に急いだ。 中庭の桜の木の下のベンチに神川の姿があった。 『神川!』 そう呼ぶと、神川は視線だけを俺に向けた。 『何?』 神川は笑いもせず、ただ、そう口にした。 あまりにも、無表情で、さっきの神川とは別人だった。 『これ。』 俺はCDを差し出した。 神川はチラッとCDを見て、桜に視線を戻した。