あ………
ちょっと……
いや、かなり寒いかも。
濡れた服があたしの体温を奪っていく。
「寒いの?」
「え?」
「肩、震えてるから」
……よく気が付くなぁ……
純に言われてあたしは肩を震わせていることに気が付いた。
「寒かったらもっとギュッてしてていーから」
「でもっ……あんたの服が汚れ……」
「俺の名前はあんたじゃなくて純」
あたしの言葉を遮る。
サバサバしてんなぁ……
「はいはい、純ね。……服汚れても知らないから」
あたしはお構いなしに純の背中にさらにしがみつく。
………そういえばどこに向かってるんだろう。
純はあたしの家なんか知らない。
「ねぇ。あたしの家、こっちじゃなくてあっちなんだけど」
「俺んちに行くんだよ」
