――――……‥



あっ、あったあった。


何度も階段を登り降りしたあと、長い廊下をこつこつと音をならしながら歩き続けること五分。


鎧と扉が延々と続く中でひときわ目立つ豪華な扉を発見。



「これの隣の隣…ってどっちの隣よ」



柚子の部屋の隣の隣と言っても、右側も左側も同じ形の扉で、どちらか分からない。


手に持っていた携帯を開こうとして……やっぱりやめた。

こんなことで柚子の邪魔しちゃ悪いよね。


でも、ここまで来たらもう迷うこともないし、とりあえず入ってみよう。



「さっきの鍵で開いた方でいいんだよね」



なんとなく独り言をこぼしながら、ドレスのフリルとフリルの間という分かりにくいところにあるポケットの中を確認。


中には、コンタクトが外れたときのための眼鏡と、さっき受け取った犬のキーホルダーがついた鍵。



私は柚子の部屋の前で左右を交互に見遣った。


どうせなら一発で当てたい。