「じゃあ陽花、あとでね」

「うん」



離れていく二人の背中を見つめる。


少しだけ、うらやましい。

たまに顔を近付けて囁き合う二人は、とても楽しそうに笑う。

彼氏が欲しいとかそういうのではなくて、幸せそうな姿を見ていたらただ単に寂しく感じてしまうのだ。



「はあ…戻ろ」



まあ、私にはどうしようもないことなのだけど。



最後に一つ大きなため息をついて、出口へ向かう。


やっぱりピンヒールのせいでこけそうになりながら、なんとか私はホールをあとにした。