「柚子、これ…」

「客間の鍵よ……って顔色酷いじゃない!もしかしてこの空気に酔った?」

「いや、そうじゃないんだけど…」

「そっかそっか、だからずっとそこにいたのね。一言あたしに言ってくれればもっと早く鍵を預けたのに」

「ちょっと、柚子」

「なるべく私も早く行くから、先に部屋で休んでなさい。
あ、曲もうすぐ変わるわね。誠司、踊りましょう?」



私の言葉に聞く耳もたず、柚子は鍵を無理やり私に握らせた。

なんか様子が変だ。



「待って柚子!」



呼び止めても柚子に聞こえていないのか、こっちを見ることすらしてくれない。


――どくんっ

嫌な予感に、落ち着き始めていた心臓がまた暴れだす。



「お願い待って!私、大丈夫だから最後までいる!パーティーが終わったら一緒に部屋までいこう?ねえ!」



私は今にも走っていきそうな柚子の腕にしがみついて、彼女を見上げるけど。



「誠司も酔ったりしてないわよね?もともとパパの気まぐれで開かれたんだから、無理しなくていいのよ?」

「いや、大丈夫だ。柚子がいるなら俺は最後までいるよ」