「わか…ないっ…わかんないっ!柚子の家みたいなところ!
早く来て、柚子っ」

『はる―か――!そこ――まって――』



必死で助けを求めれば、まるで私は助からないんだと告げるように、柚子の声がノイズで霞んでいく。



「柚子、柚子、柚子っ!!!」

『いま行―――か――、―はる―――』



ブツッ


無情な機械音が妙に大きく頭に響いたと思ったその時、私の身体は大きく前に傾いだ。



「きゃっ―――」



ああ、なんでピンヒールなんて履いてきたんだろ…


私はピンヒールを履いてきたことを心の底から後悔した。



柚子、早く来てっ!


そして怒っている柚子の顔を想像したのを最後に、私の記憶は途切れてしまった。