「違うこのホールじゃない…」

「…そんなはずはないと思うのだけれど」



嘘でしょ。
ここどこなの?


確かに中からは人々の話し声や優雅なクラシックが流れてきている。

音だけはさっきまでいたはずのホールと変わらない。



私は急に怖くなった。

扉を前に、足がすくむ。



ここに来るまでに違和感は感じていた。

うざいぐらいに並んでいた鎧も見当たらなかったし。
何より、すれ違う人々の様子がどこか変だったのだ。

…現代人ぽくないというか、私たちに対する態度がファンタジーな物語の世界のものみたいだった。



「けれど今日の主役は僕たちなのだから、一度は顔を見せなければいけないよ」