青薔薇に愛を込めて



「…で、あんた名前は?」



ぱたぱたとドレスに付いた葉っぱをはたいてもらいながら。

その問いかけを理解できなくてしばしの間、私は目を点にさせた。


すると、じっと見つめてくる青緑の瞳が綺麗だなあとのんきに考えていたら、額に小さな衝撃が走った。



「な、ま、え、は?」

「え?ああ、木村陽花です」



久しぶりだ、デコピンなんて。


額を押さえながら慌てて答えれば、彼女は小さく笑った。


とっても綺麗な微笑み。

でもなんかバカにされてるような気がする。



「キムラハルカ…変な名前。キムラがファーストネーム?」

「あ、違う違う。陽花がファーストネーム……ってちょっと、いきなり変な名前は失礼じゃない?」



聞き逃しかけたけど、何気にすごく失礼な言葉だ。

というか、キムラハルカなんて日本にいっぱいいると思う。別に変ではない。



「…あなただって日本人顔なのにヴェレーナなんて、違和感はんぱないと思うんだけど」