青薔薇に愛を込めて



「いやぁあぁ…っぎゃ!」



驚きと羨望と恐怖で頭がパニックになって、何も考えずにとにかく逃げ出そうとしたら、憎きピンヒールのせいでこけてしまった。


ほんと、あまりにマヌケすぎて涙がこぼれそう。



「…落ち着けって。俺だって驚いてるんだから…てか俺の顔見るたびにいちいち叫ばないでくれる?」



ぐきってなった足首をさすっていたら、相変わらずの不機嫌顔だったけど手を差し伸べてくれた。


うう、やっぱり優しい人なのかも…

それにこんな華奢な少女が不審者なんて想像できないし。



私は小さく頷きながら、美少女の手を借りてなんとか立ち上がる。


人をすぐに信じてしまうのは私の悪い癖だと分かってはいる。

いるのだけど、美少女の優しさに私はすでにほだされかけていた。