「……」
無視、無視。
いいじゃん五分ぐらい。
私はだんまりを決め込んで、寝る体勢を本格的に整えようとしてた。…のに。
「ほら、着いたから起きろ!」
「……いった!」
到着の旨を告げる言葉の直後、私の身体はぽいと放り投げられた。
それはもう、軽く。放物線を描くほど。
重そうに放り投げられるよりはマシだけど、それにしても酷い。
「ちょっと、投げることないでしょ!」
痛みと怒りで瞬時に覚醒した私は、憎しみをこめて非難した。
「うるさい!お前が叫んで倒れたせいで俺がどんだけ大変だったと思ってんだ!」
「はい?倒れた?」
むすっと不機嫌をあらわにする黒髪ウェーブの美少女の口調に違和感を感じつつも、私は怒りに沸く頭で思考を働かせた。
倒れた?いつ?というか、私が?
まったく記憶にないけど…

