「よし、左だ!」



私はそう意気込み、ドレスをたくしあげて小走りで扉の前へ行く。



―――後から思えば、この選択が私の未来を変えたのだと思う。

私は忘れていた。今日がいかについてない日かってことを。




その扉は、よく見てみれば他のとは少し違った。


表面の色が剥げて中の木目が見えていたり、とっての部分が錆びてところどころ黒かったり。

要するにこの扉だけとても古くさい。



でもそれに気が付きながらも、何故か違和感を感じることはなくて、むしろ私は絶対にこの扉だと変な自信を持って取っ手に鍵を差し込んだ。



「あれ?…開いてる?」



時計回りに回してみれば、空回り。

反対に回してみても空回り。


って、壊れてるじゃん。



私は鍵を抜き取り、取っ手に手をかけた。

捻ってみると少し固くて、ぎぎぎって音を鳴らしながら扉は開いていく。