始まりは、最愛の人の死。




――――……‥




逝くな。

私を置いていくな。


許さない。そんなこと、私は断じて許さないぞ。



お前が私の手をすり抜けようとするならば、この手で何度でも捕まえてみせよう。

お前がこの手を拒むならば、手と手が離れないよう鎖で繋いでしまおう。



お前は永遠に、この手から逃れることは叶わないのだ。

生きたまま、この手に囚われ続けなければならないのだ。




――そのかわり、
君に捧げようじゃないか。

悠久の口付けを。

私の、愛の証を。








男は冷たくなった細い手を、ただひたすらに握っていた。

最愛の人を奪った運命を憎みながら。