行き場をなくした手を
泰雅が掴んで、体ごと
泰雅の方へと向かされた。








「 卒業おめでとう、葵 」







仕事から、そのまま来たのか
スーツ姿の泰雅に一瞬見惚れて
袖の隙間から私があげた
ブレスレットが見えて、嬉しくなった。







「 ・・・ありがとうございます 」


「 遅くなってごめんな? 」







持ち上げられた左手の甲に
そっとキスが落とされて、
”消毒”だと言って泰雅が笑った。