『 ・・・卒業生、退場 』





体育館内は、すすり泣く女子生徒の声と
吹奏楽部の合奏と、拍手。
下級生の間を歩きながら
私は彼を探していた。











───────────迎えに行く。






ここに、居るかもしれない。
どこかで私を見ているかもしれない。






そう思うと、すぐに体育館からは
出られなかった。






「 一之瀬さん? 」






立ち止まった私の背中を、
後ろの子が押して、
結局私は彼を見つけることなく
体育館から出た。