季節は春。
まだ風は冷たいし、気温だって
そんなに高くはないけど
私の学校より一足早く
先輩の学校の卒業式が行われた。





「 観覧車、乗りに行くか? 」





私を迎えに来る先輩には相変わらず
女子生徒のピンク色の視線と
所々から黄色い声が注がれている。
多分、先輩の学校ではもっと
すごいと思う。





「 ・・・・・葵? 」


「 ・・・・行きたい、です 」





先輩と初めて観覧車に乗ったとき
これでもかってくらいに大泣きした。





・・・・・・少しだけ、怖い。





「 何でボタンくらいでそんなに
  落ち込んでんだよ・・・ 」


「 ボタン”くらい”って・・・ 」





ヤキモチに気付かないほど
鈍くないはずなのに。