「 やってんなぁ泰雅 」


「 ・・・・悠太 」





強く握っていた資料を離し
悠太の方へ体を向けると
悠太は一瞬きょとん、として
すぐに苦笑した。





「 偉いな、お前は 」


「 なにが? 」


「 俺だったら絶対に気合だけで
  美夏連れて行くよ、あっちに 」





”だからお前は偉い”
髪をぐしゃぐしゃにされて、
乱暴に撫でられたあと、










「 ・・・・・・偉くなんか、ねぇよ 」






噛み殺していた弱音が
ぽつぽつと出てきた。