「 勇気なんて要らないんです。
大好きな人を前にしちゃうと
もう隠せなくなって、つい
声に出して言っちゃってるんです 」
もう大丈夫だよって
言ってほしくて、
「 絶対、大丈夫です 」
どんなに格好悪い私でも
受け止めてくれたから。
「 へぇ・・・大好きな人、ね? 」
「 ・・・ 」
美夏さんに向けていた目を
先輩に移すと、口角を上げた
先輩を目が合った。
「 可愛いこと言うね、葵は 」
私の隣まで来た先輩が
グイッと腰を引き寄せてきて
先輩の足の間に座らされて、
目の前に美夏さんがいるのに、と
私は先輩から離れようともがいた。

