「…それだけ想ってれば十分だ
  って。」

オレの手は自然と蓮の胸ぐらから離れていった。

蓮は立ち上がってオレの肩を軽く叩いた。

 「笹嶋さんの試合、見に行ってみ
  れば?」

 「誰がそんなヤツの…!」

歯を食いしばった。

行けばいいんだろ、行けば…。

 「絶対アイツのこと越えてやる。」

オレの14回目の夏は終わったかもしれない。

でも…まだやれることはある。

これから、先生に目いっぱい叱られて…。

悔しい思いして、泣くほどつらい思いして…。

まだ成長できるはずだ。

 「歩斗!」

蓮がオレを呼んでいる。

待ってろよ…。笹嶋。