息が詰まりそうになった。

…笹嶋さんはあたしをからかってばっか。

 「そんじゃ、応援しててよ。」

返事をする間も与えないで、笹嶋さんは4番コートに入っていった。

 「何なの…?」

笹嶋さんのあの目が忘れられない。

 「笹嶋かよ。
  シツケーやつ!!」

この声…。

 「歩斗…!」

 「そんなビビんなくても…。
  傷ついたわー。」

…バカ歩斗。

カラ元気なのバレバレだよ。

 「次も試合、あるんだろ?
  頑張れ!」

歩斗はあたしの背中を軽く叩いてまたどこかに歩いていった。

…本当に言いたいことが言えないのって苦しい。

こんな中途半端なあたしじゃ…ダメだ。

歩斗に好きって言えないよ。