「別にフツーのこと。
  ベスト4で当たるね、みたいな感
  じ。」

会場にアナウンスが響いた。

女子のベスト8のトスの呼び出しだ。

 「ほら、行くよ!!」

 「あ、ちょっと待ってくださいって
  !!
  のわっ!!」

愛華が木の幹につまずいた。

 「間一髪。」

 「先輩、神様ですね。」

なんとか愛華の左手を掴んで転ぶのを阻止した。

 「先輩。」

 「ん?」

愛華が少し間をおいて口を開いた。

 「やっぱ、あたしは先輩がいないと
  ダメです。」

試合前に何言ってるんだか。

照れるっての。

 「バーカ。
  あたしもだよ。」