相手に焦りが見えた。

 「…ラッキー!」

試合ってのはなにが起こるかなんてわからない。

 「あと1本ですね!」

 「気引き締めていくよ!!」

サーブを構える後衛の体がガタガタ震えていた。

…次の一球で決まる。

 「1-3!!」

日花梨先輩の荒い呼吸が聞こえる。

あたしは鼓動が高まるのを感じた。

あと一球…。

先輩…っ。

 「はい!」

ファーストサーブが先輩のフォア側に入った。

 「っはい!」

あたしは軽く頭を伏せた。

日花梨先輩はショートに打つ…。

そんな気がした。