濡れた真っ黒い髪の毛が少し肩に触れた。

 「髪も切りに行かなきゃな…。」

少し長すぎるかもしれない。

このまま伸ばし続けたら…。

 「笹嶋…っ!」

アイツは髪が肩くらいまである。

アイツのことを考えるとイライラする。

確かに笹嶋は上手いと思う。

でも、尊敬の目で見たことなんて一回もない。

キザだし、胡散臭いし!

しかも、アイツは…愛華に告った!!

フラれたくせに愛華につきまといやがって!

 「超ウゼェ!!!!」

叫んだ声が反響した。

軽くエコーがかかっている。

 「絶対、アイツには負けねぇ!」

顔に笑みが浮かんでいる。

…オレは内心ワクワクしてた。