あたしはさっき、日花梨先輩に声をかけるべきだったのかな?

 「男子、負けちゃいましたね。」

…そんなこと言えない。

歩斗や蓮…それに戦ってきた先輩達を傷つけることになるかもしれない。

遠くの方で拍手と歓声が聞こえた。

優勝校が決まったんだと思う。

試合はまだ終わっていない。

それは先輩達にとっても同じことだ。

まだあたし達は諦めてなんかいない。

 「愛華、男子の優勝は佐倉だって。」

日花梨先輩があたしの姿を見つけてそう言った。

先輩の表情は少し暗い。

男子が団体で勝てなかったことが結構効いてるんだと思う。

 「…先輩。」

あたしは歩斗に手を握られた時みたいに、日花梨先輩の手を握った。

 「先輩がいてくれてよかったです。」