「なんで?」

不意に手を握られた。

 「歩斗…?」

 「お前がいてくれてよかった。」

歩斗はそれだけ言ってあたしの前から去っていった。

…なにそれ。

どーゆー意味?

意味わかんないんだけど…。

 「歩斗の本心なんだろうよ。」

静かな蓮の声が聞こえる。

蓮は多分…ずっとあたし達を見ていた。

 「なぁ、愛華。
  明日…先輩達は勝てなかったら引
  退なんだよな?」

あたしは蓮を見ないで頷いた。

 「…絶対引退なんてさせない。」

蓮の言葉には熱がこもっていた。

 「…そうだね。」

曖昧な返事しかできないあたし。