日花梨先輩を追いかけて歩こうと思ったら、背中に何か熱いものが触れた。

 「負けた…。」

梨々香ちゃんの声だった。

東北NO,1と言われていた梨々香ちゃんが藤宮の3番手に負けた。

すごく悔しいことなんだと思う。

 「私のせいなの。
  全部わかってる…。」

 「そんなことないよ。
  梨々香ちゃん、頑張ってた。
  関東で借り返せばいいじゃん。」

梨々香ちゃんが声を上げて泣いた。

 「すっごく悔しい…。
  いつもの自分のプレーが出来なか
  った。」

 「皆そうだよ。
  梨々香ちゃんだけじゃない。」

梨々香ちゃんを抱きしめたあたしの肩に誰かの手が乗った。

 「…大庭さん。」

 「ごめんね、遠田。
  梨々香が…。」

大庭さんは泣いてなんかいなかった。

 「…梨々香!
  アンタ、元東北No,1なんだろ?
  泣くんじゃないよ、バカ!」