「…っ!!」

グリップを強く握った。

あたしのラケットから放たれたボールは狙い通りサイドラインギリギリ。

コートの外に弾かれる…。

 「…勝った。」

勝ったんだ、あたし…。

 「勝った。」

あたし、日花梨先輩と全国に行けるんだ。

 「よっしゃー!!!」

太陽に向かって拳を突き上げた。

やっとだ。

やっとここまで来た。

 「ベスト8確定…。」

放心状態の日花梨先輩の背中をポンッと叩く。

 「全国。」

 「…全国。」

日花梨先輩の右目から涙がこぼれた。