「優しい?
  俺が?」

ふわっと笑顔になる崎本を見て、なんだか胸がそわそわした。

 「私は知ってるよ。
  基山君の優しいところとか。」

今まで外見を褒められても嬉しいとも思わなかった。

でも、崎本に内面を褒められた。

なんかこんなの初めてで…。

どうすれば…。

てか、なんて言えばいいんだ?

 「優奈、今日攻めるねー。
  なんかいい雰囲気。」

 「もう付き合っちゃえば?」

歩斗に脇腹をつつかれて、ハッと我に返る。

 「バカ、何言ってんだよ。」

崎本の顔を見ると少し赤くなっている頬が見えた。

夕陽のせいだろうか?

…それとも。

風に揺れる彼女の髪は何かが始まるのを悟ったようにも見えた。