「どうしたんですか?
  今、学校ですよね?」

あたしは屋上で電話に出た。

 『うん。
  そーだよ。』

…なんか声に元気ない。

 「なんかあったんですか?」

 『どうだった?
  藤乃宮との合同練習。』

 「…楽しかったですよ。  
  勉強にもなったし。」

しばらくの沈黙。

 『藤乃宮ねぇ…。
  あんなとこ絶対に行かない方が
  よかったと思う。』

 「え?」

 『俺も去年行ったんだよ。
  藤乃宮。』

そうだったんだ。

 『それからうちの顧問方針は変わった。
  今まで楽しかったテニスが勝つため
  でしかないテニスになった。』