歩斗があたしのことを腕でつついた。

 「うっせぇ!
  …確かに寝癖は直してもらったけど。」

 「…ほら、やっぱり。」

蓮の家の前に立った。

インターホンを押そうとするあたしの人差し指を歩斗が引っ込めた。

 「…え?
  なんで?」

 「今日、アイツ日直なんだって。
  だから多分先に行ってる。」

ああ。そうなんだ。

じゃあ、もっと早く言ってくれればよかったのに。

 「そっか。」

 「そういえば、昨日どうだった?」

ああ、藤乃宮との合同練習の話か…。

 「すごく勉強になった。
  また自信ついちゃったって感じ?」

 「なんだ、それ。」

呆れたようにあたしを笑う歩斗。