「マジかよ。
  それだいぶ効いてるんじゃね?」

 『だといいけど。
  ま、あのババァは何言っても無駄
  だろ。』

受話器からヒステリックな叫び声が聞こえた。

多分…律の母親だろう。

 「…ヤバイな、律の親。」

 『泣き叫んでやんの。
  ずっと俺の部屋の前でさ。
  律、律~って。
  バカみてぇ。』

律の親も反省したんだろう。

実の息子から縁を切るなんていわれたら堪ったもんじゃないはず。

 「でも、そんな状態じゃ部屋から出
  られないよな?
  部屋二階だろ?」

 『ああ、大丈夫。
  弟にハシゴと靴の用意してもらった。
  今日からじゃ…やっぱマズイよな。』

 「いや、大丈夫だよ。
  母さんとかにも事情は話しとく。」