『あー、啓人?』

 「…律?
  どーした?」

いつもはメールの律が珍しく電話をしてきた。

 『あのさ、しばらく泊めてくんない?
  できれば…関東終わるまで。』

 「全然いいけど…。
  どうした?」

少しの間の沈黙。

 『親とのケンカ。
  家出ってヤツだな。』

 「…テニスのことでか?」

 『ん。』

受話器越しの律の顔がよくわかる。

アイツはしれっとした顔で話しているに違いない。

 『藤乃宮に行くこと反対されたから、
  縁切るぞって脅した。
  最高じゃね?』

そういって得意げに笑う律。

律の発言にはよく驚かされる。