「え、あ。
  ちょっと!!」

俺のシャツを引っ張ろうとする手を掴んだ。

愛華が一瞬ひるんだ。

細ぇ腕。

手ぇちっちゃすぎるだろ。

 「…お前、こんな手でテニスやって
  んの?」

 「え?」

太さも大きさも…俺のほうが上回ってる。

…なのに。

 「なんで勝てねぇんだよ。」

今になってバスの中の愛華の気持ちがわかってきた。

クソ悔しかった。

実力はあっちの方が少し上。

勝てない相手じゃなかったはず。

皆そう言った。

 「スゲェムカつく。」