「あたし…どんなプレーしてた?」

確かにいつもより調子がよかった気がする。

ボレーもスマッシュも思い通りだった。

自由自在…としか言いようがないほどに…。

そんな自分が少し怖かった。

 「…最高だった。」

蓮がボソッとそう言った。

 「そんなに?」

静かなバスの中で2人の会話だけが反響してる。

 「うん…。
  なんか、いつもの愛華じゃないっ
  ていうか…。」

いつものあたしじゃない…?

正直、あの時…。

プレーしてるって実感がなかった。

宙に浮いているような不思議な感覚。

 「…あの時のあたしは…誰だった
  んだろうね?」

…あれはあたしじゃない?