「2-0で桃林の勝ちです。」

 『ありがとうございましたー!!!』

男子が一回戦に勝った。

…てか、歩斗が勝った。

 「何ボーっとしてんだよ。」

 「…歩斗すごいなぁって。」

素直にそう思った。

前の歩斗なら、あんなことはできない。

 「天才なんだから当たり前だろ?」

 「何言ってんだか。」

岸先輩が溜め息混じりに言った。

 「お前だけで勝ったわけじゃねぇだろ
  このバカ。」

先生が笑いながら歩斗をこづいた。

 「上手くなりやがって!」

 「ありがとうございます!!」

くしゃってした笑顔…。

歩斗が照れてるときの笑い方だ。

 「桃林は初戦勝利かぁ。」

この声…。

もしかして…。