笹嶋はそう言ってオレの頭をポンポンとなでた。

まるで小さい子を慰めるように…。

 「うっせ…。」

笹嶋の手を軽く振り払った。

ガキ扱いすんなよ。

 「…ここだけの話…
  俺はお前に期待してるからな。
  歩斗。」

 「なっ…!?」

笹嶋がオレのことを初めて名前で呼んだ瞬間だった。

 「お、歩斗照れてる。」

紅く染まった頬をオレは夕陽のせいにした。

 「期待してるってよ!!」

笹嶋がオレの方を見て優しく笑ったんだ。

笑顔の意味はいまいちわかんねぇけど…。

笹嶋。

…オレ、アンタのこと特別嫌いなワケじゃねぇから。

…一番ぶっ倒したい相手ではあるけどね。